ついつい、ぼくは聞いてしまった。
「いえ、同じですよ」
いや、やっぱり、増えているような気がする?
身体のいろいろなところに、金属製の装身具を装着するボディピアス。原宿では、けっこう見かける。
唇とか、鼻、頬、耳たぶ、口の中、舌、おヘソの辺りなどなど。きっと、もっといろいろなところに装着されているにちがいない。
鑑定のあいまに、外で休憩しているとき、たまに話をする、近所のショップのナナさん。彼女も、ボディピアスが目立つファッションだ。
「すごいね」
よく見ると、耳の軟骨の部分にまで、金属製の装身具が装着されている。視線に気づいて、
「インダストリアルですか?」と彼女はこたえる。
「それインダストリアルっていうんだ。自分で穴あけるの?」
「そうですよ」
「ええ! 痛くないの?」
「痛いですよ」
「すごい根性だね」
見ると、耳たぶに大きな穴のある金属製のリング状のものが装着されている。
「その耳たぶの穴、どのくらいの大きさ?」
「16ミリ」
「ピアスの穴、そんなに大きくしたんだ」
「少しづつですよ」
*
そういえば縄文遺跡から出てくる「耳栓(じせん)」と同じだ。
大きさはさまざまで、中には直径9センチというものを見たことがある。専門用語としては「ジセン」と読むのだけれど、当初、ぼくは読めなくて「みみせん」と読んでいた。ふつうはこの読み方でまちがいではない。
縄文土器のひとつで「みみずく土偶」というのがある。耳のあたりを見ると円い耳栓が埋め込まれているのがわかる。縄文人の耳の穴は「そんなに大きかったのか?」と妄想した。
ところが、よく調べてみると「耳栓」の装着方法は、耳の穴に突っ込むものではなかった。
現代でもピアスをするために耳たぶに小さな穴を開ける。同様にして、開けた穴を少しづつ広げて行き「耳栓」を装着したらしい。大きい耳栓をつけているほうが、社会的ステイタスが高かったと研究者の報告書には書いてあった。
人間が実際に装着したら、どんなふうなものなのか? 現代のアフリカやタイの少数民族の中に、参考になるファッションがある。
アフリカのスルマ族やタイの耳長族の女性は、耳たぶに大きな穴を開け、耳飾りを差し込んでいる。形態としては、縄文時代のものと同様だ。
両民族とも、身体改造に熱心で、唇に皿を差し込むなど、不思議なファッションを好むことも知られている。
*
気が付いたら、ナナさんは休憩を終えたのか、ぼくのうんちく話に飽きたのか、いなくなっていた。
彼女の耳たぶの穴の大きさも、今後、さらに大きくなっていくのだろうか?
★原宿タリム(03-3497-5825)での鑑定は水曜日、金曜日です。両日ともに午前11時より、午後9時(受付締切午後8時)まで鑑定を行います。
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